パンダ劇場

備忘録。大体ネタバレ。

窓際のトットちゃん


戦争の描写がリアル、みたいな色々な人の感想を読んでいたので覚悟して観た。なので、いつまでも淡々と日常の物語が進むので、おや?なかなか戦争始まらないぞと思ってしまった。

しかし最後まで見ると、こんな宝物みたいな日常があっという間にこわれてしまう事を描くには充分な時間配分。短い時間で全然伝わるね。駅員のおじさんがいなくなって女の人に代わっているとかさ。

トモエ学園に爆弾が落ちる描写が恐ろしい。今まで、実際の映像にしろドラマにしろ、爆弾が落ちるところの映像と、爆弾が落ちたところの映像を別々に見ることがあるけど、あの爆弾が分裂して今まで皆が居たところに落ちる、なんて映像はアニメでしかできないよな。あ、今なら映像作れば出来るか。でもななんかそういう、実生活と繋がっている恐ろしさを伝えたかったのだろう。

 

この時代の物語、他のドラマにしても映画にしても、戦争が始まる前の豊かさにびっくりする。もちろん豊かなのは実際、都会の一部の人たちではあるのだろうが、物の豊かさはもちろん、気持ちが豊かなのよ。本当に戦争なんて始めてしまったの馬鹿だよ。あの時失った気持ちの豊かさ、ずーっと失ったままなのかもしれない私たちは。

 

いじめっこ達がやってきたのは、戦争が始まってから。穀潰しなんて言葉、大人が使っているのでしょ。戦争で変わる人の気持ちの怖さよな。

 

「窓際のトットちゃん」の小説は、子供の頃読んだけど、トイレにお財布落とした話しか覚えていない。あの時代はおてんばな女の子の話が多かったから、おてんばではない自分は「ちぇっ、またおてんば女の話かよ」とか「トットちゃんいーよな、都会の子はいい学校があって」などとは思ったかもしれない。

 

ああいう学校が良いってあの時代から思う人がいるのに、なんでずーっと学校は変わらないのだろうね。

 

トットちゃんのちょっとした仕草が時々黒柳さんに見えたりして、その辺りは寄せているんだろうなあ、アニメ技術の高さよ。

子供達が奔放だし、大人も放っておくしで、何か事故るのではないかとハラハラしちゃった。まあでも昭和はそんなもんだ。

 

前情報もあったので、校長先生の役所広司感強かったけど、お父さんの小栗旬全然気づかなかった。お父さん、髪の毛ボサボサの時とオールバックの時の違い大きすぎで最初「誰?」って思った。

 

いつの間にか赤ちゃん出来てて、やっぱ昔の人は生命力が強いな、などど思う。今の人たちだったら、戦時中なんて先行き見えないから極力赤ちゃん出来ないようにする人多いだろうな。

お腹空いてるのかんばって紛らわそうとして歌ってるのに、卑しい歌歌うなって怒鳴られてその大人は、外食券持っててちゃんとしたもの食べられるなんて理不尽すぎるよあれはずーっと忘れられないんだろうなあ黒柳さん。

 

校長先生らしき人を調べたら、現・芸大卒で、リトミック研究者。なーるほど。

 

エンドロールで「ポリオの会」出てたし、財団法人だのそういう非営利団体っぽい名前がいっぱい出ていたそういうところの協力があるのですね。

 

あの時代に病気で亡くなちゃう子を見ると、医学の進歩はほんと有難いと思うワクチンのお陰ですよ、あれやこれや。

 

平日の午後というのもあって、客の年齢層が高かった。トットちゃんがお祭りで「ひよこ買って」と駄々こねるところで近くのご婦人が「ふふふ」と笑っていた。色々と思い出されているのであろう。

お祭りで何でも買っていいって言われたらまあ、ひよこだよね。

https://tottochan-movie.jp/